【2019年3月キリマンジャロ登山スタディツアー】参加者による事前講義録!⑩ ~登山の基礎知識!トレーニング編~

【2019年3月キリマンジャロ登山スタディツアー】参加者による事前講義録!⑩ ~登山の基礎知識!トレーニング 編~

もりと
ジャンボ~~!!スタディツアーリーダにして冒険家の金原です!事前準備はとっても大事!体力・知識・仲間意識があってこそアフリカの高みへ辿り着けるのです!今回の講義録は「登山のトレーニング」についてです!

登山のトレーニングについて

1. 登山中に起きうる身体トラブル

a)重荷で肩が凝る
b)靴擦れ
c)ザックによる腕の痺れ
d)下りで脚がガクガクになる
e)膝の痛み
f )バテやすい
g)登りで肺や心臓が苦しい
h)腰の痛み
i )筋肉痛
j )脚力不足で軽快に歩けない
k)むくみ
l )筋の痙攣
m)足首の捻挫
n )その他

★それぞれのトラブルはなぜ起こるのか?
★それを防ぐには、どのようなトレーニングが必要か?

 

2. 登山者にとってのトレーニングの難しさ

・普通のスポーツ

週に5日間程度の専門トレーニング
(サッカー、陸上、柔道など)
+ 週に数回の補強トレーニング
(ウエイトトレ、走り込みなど)
→本番(試合)

・登山

専門トレーニングはなし + 週に数回の補強トレーニング
(ウォーキング、筋トレなど)
→本番(登山)

登山の場合、普段は山へ行けないため、下界で補強トレーニングだけをして、
 ぶっつけ本番のような形で登山に挑まなければならない!

補強トレに工夫をこらす必要+登山自体をトレーニングとして有効活用する発想が必要

・登山頻度を増やすことで減るトラブル・減らないトラブル

a 登りで苦しい 回数を増やせば改善する
b 下りで脚がガクガクになる
c 筋肉痛
d 膝の痛み 回数を増やしても改善しないことが多い

毎週のように登山をしてもトラブルが出る人は、下界でのトレーニングが必要

3. トレーニングとは・・・「シミュレーション」すること

a)1日に何mの標高を登る/下るのか?
b)1日に何km歩くのか?
c)1日に何時間歩くのか?、歩く速さは?、荷物はkg?
d)何時間連続で行動するのか?
e)高度、気温、雨、風、雪、濡れ、乾燥、日射は?
f )食事、宿泊等の生活環境は?
その山に行った場合、どのような弱点がでそうか?

上記を受けてトレーニングしていく際には、「特異性」「過負荷」という2つのキーワードを意識したシミュレーション体験をする

 

4. 登山で使われる主な筋肉

a 僧帽筋 ザックによる下方への引きに対して、肩を上に持ち上げ支持する.弱いとザックが下に引かれ、背骨に負担がかかる
b 大胸筋 背中のザックを、肩を使って前方に引き付ける.弱いとザックが後ろに引かれ、背骨に負担がかかる
c 腹筋群 姿勢を維持する.特に登りで負担が増す
d 脊柱起立筋 姿勢を維持する.特に下りで負担が増す
e 殿筋群とハムストリングス 股関節を伸展する
f 大腿四頭筋 股関節を伸展する.登山の主動筋と考えられる.段差の大きな登りとなるほど酷使される.また、下りでは非常に大きな負担がかかる
g 下腿三頭筋 脚関節を伸展する.岩場や雪渓など、爪先で立つような場合には負担が増す
h 前脛骨筋 足先を持ち上げて、躓かないようにする

 

5. 持久力のトレーニング

 登山は持久系のスポーツであり、そこそこのパワーを長時間持続させることが求められる.トレーニングは大きく分けて、「登山に必要な筋肉を鍛える筋力トレーニング」・「持久力」を向上させるものとがある

 運動生理学では持久力を測る指標として最大酸素摂取量を用いる.1分間に体内に取り入れられる酸素の量.これは心肺機能と筋に酸素を取り込む速さで決定される.筋肉にしっかりと酸素を送ることが、嫌気呼吸による乳酸の発生を抑えることができ、筋肉の疲労を抑えられる.この最大酸素摂取量を高めるトレーニングを紹介する

 基本的に20代の有酸素運動では心拍数135~150が目安と言われている.頻度は週2~3回が目安だが、まとめて行うよりも、継続できるトレーニングを毎日行うことが大事!

・登山者に必要な前進持久力の目安とは?

最大酸素摂取量で言うと、1分間・体重1kgあたりで
男性:55~60ml程度、女性:40~45ml程度

・12分間走テストによる簡易評価法

12分間走成績
(m)
最大酸素摂取量
(ml/kg・分)
(m) (ml/kg・分) (m) (ml/kg・分)
1000
1100
1200
1300
1400
1500
1600
1700
1800
1900
14.0
16.1
18.3
20.4
22.5
24.6
26.8
28.9
31.0
33.1
2000
2100
2200
2300
2400
2500
2600
2700
2800
2900
35.3
37.4
39.5
41.6
43.8
45.9(女)
48.0
50.1
52.3
54.4
3000
3100
3200
3300
3400
3500
3600
3700
3800
3900
56.5
58.6(男)
60.8
62.6
65.0
67.1
69.3
71.4
73.5
75.6

★しかし、平地での持久走では、真の意味で登山に必要な持久力は測れない!

・メッツ(Mets)値から見た登山の運動強度

Lv. 運動 生活活動
1 特になし 寝る、立つ、座る、食事、入浴
デスクワーク、車に乗る
2 ストレッチ、ヨガ、キャッチボール ゆっくり歩く、立ち仕事
3 やや早く歩く、軽い筋力トレーニング
ボーリング、バレーボール
普通に歩く~やや早く歩く
階段を下りる、掃除
4 早歩き、水中運動、バトミントン
ゴルフ、バレエ
早歩き、自転車に乗る(時速16km以下)
庭仕事
5 強歩、野球、ソフトボール 強歩、子供と遊ぶ、動物の世話
6 ★ハイキング
ジョギングと歩行の組み合わせ

バスケットボール、水泳(ゆっくり)
エアロビクス
家具の移動、スコップで雪掻きする
7 ★バックパッキング
ジョギング
、サッカー、テニス

スケート、スキー
 
8 ★雪山・岩山
ランニング(分速134m)

サイクリング(時速20km)
水泳(中くらいの速さ)
重い荷物を運ぶ、階段を上がる
9   荷物を上の階に運ぶ
10 ランニング(分速161m)
柔道、空手、ラグビー
 
11以上 階段を駆け上がる(15メッツ)
速く泳ぐ
 

※メッツ:安静時の何倍のエネルギーを使うかを意味する
本格的な登山をするためには、ジョギングだけでは強度不足!

自転車 車の代わりに自転車というイメージ.スピードを上げたり坂を登ったりを取り入れながら30~40分行う.親指の付け根でペダルを漕ぐことで下腿の筋力トレーニングにもなる
ランニング 最低でも10分以上行わないと心肺機能のトレーニングにはならない
水泳 ”歩くように泳ぐ”と言われるように、最低でも15分泳ぎ続ける.体を激しく動かし続けず、伸びる時間を意識しながらリラックスして呼吸をよく行う

・最近話題のインターバル速歩(筋力トレーニングと持久力トレーニングを兼ねる)
速歩(大股で腕振って少し辛いくらい) 3分、ゆっくり歩き 3分、を1セットとし、5セット繰り返す

6. 自体重を負荷する筋トレにおける負荷法

・身体のトラブル防止に有効な自体重を負荷した筋トレ

箇所 効果
肩の筋 ザックのベルトによる痺れ、肩こり
腕・胸の筋 ザック負け、ストック
腹筋群 腰痛
太もも前面(大腿四頭筋) 下りで脚がガクガクになる、膝関節痛、痙攣、筋肉痛
ふくらはぎ ふくらはぎの痙攣、筋肉痛
足首周りの筋 捻挫予防

 

・自体重を負荷する筋トレにおける負荷法

系統 補強回数設定 最初 最終的に
スクワット系 前ももスクワット 15回×3 20回×3
ハムストリングススクワット 15回×3 20回×3
片脚スクワット 10回×3 20回×3
ランジ系 その場ランジ 15回×3 20回×3
大股歩行 15回×3 20回×3
膝出し大股歩行 15回×3 20回×3
踏み換え 15回×3 20回×3
動的体幹 腹筋 30回×3 50回×3
縦交差腹筋 50回×3 100回×3
前後交差腹筋 50回×3 100回×3
脊柱起立腹筋 20回×3 30回×3
腕立て系 膝付き腕立て伏せ 20回×3 30回×3
腕立て伏せ 15回×3 20回×3
片脚腕立て伏せ 10回×3 15回×3
ふくらはぎ ふくらはぎ 20回×3 20回×3
静的体幹 腹筋スタビライゼーション 30秒×3 60秒×3
腹斜筋スタビライゼーション 30秒×3 60秒×3
背筋スタビライゼーション 30秒×3 60秒×3

余裕が出てきたら、組み合わせてサーキットトレーニング化すると、さらに効果的!

 

7. まとめ

 一口に持久力といってもしっかりとその指標があることが勉強になった.トレーニングの効果が現れるのは2ヶ月後というようなことも書いてあったので、今からしっかりとトレーニングを行っていきたい.継続は力なり!

記事作成:参加メンバー 山本 友梨 / 写真・表、修正:リーダー 金原 守人

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