【2019年3月キリマンジャロ登山スタディツアー】参加者による事前講義録!⑦ ~登山の基礎知識! 装備編~
登山装備について
1. 装備の考え方
登山の目的を達成するためには、携行する装備について念入りな検討を加える必要がある。適切な装備は登山全体の快適さに直結するため、軽量で高性能なものが求められる。登山の目的、期間、気候、難易度など考慮し、臨機応変に対応できるようしっかり準備する。
・装備の大別
服装 | 雨具、アウター、ミドル、インナーウェアー、下着、手袋、帽子、サングラス、 ヘルメット |
履物 | 登山靴、トレッキングブーツ |
炊事用具 | ガスバーナー、ガス缶、コッヘル(鍋) |
幕営用具 | テント、寝袋、マット、ツェルト(ビバーク時の簡易テント)、サバイバルシート |
登攀具 | ロープ、昇降器、カラビナ、ハーネス |
一般携行品 | 地図、コンパス、ナイフ、笛、ヘッドライト、タオル、ペーパー、ザック、 ザックカバー、ストック、携帯トイレ |
医療品 | 外傷薬、胃腸薬、三角巾、ガーゼ、脱脂綿、包帯 |
非常食 | 調理や水を必要とせず、軽量かつ高カロリーなもの、予備水 |
おおよその分類としては、服装、履物、 炊事用具、登攀具、一般携行品、医療品、非常食等である。そして、これらは個人装備と団体装備に分類できる。
★登山装備では、軽量コンパクト、高性能、一種多機能が大正義!!
2. 装備としての衣類
・服装決定の要素
外的 | 高温、低温、風、雨、雪、害虫など |
内的 | 発熱、発汗、行動、外力保護、感覚など |
以上の要素をどう生かすかによって装備の選択が変わってくるが、これらの要因をすべて同時に満足のいくレベルのものを見つけるのは難しいのが現状である。そのため、それぞれの特性を上手く組み合わせて活用することになる。山は季節によって環境が激変するため、それに応じた体温調節が生死を分ける。そのため行動中に予想される様々な条件を見通し、こまめに着替えることが重要である。
※山では季節に応じた服装が生死を分けることもある!
・登山に適した衣類と登山靴
登山において、日中と夜間や標高差、雨風などの天候など様々な要因による気温の変化に対応しないといけない。この温度差により体温や体力を奪われ、さらには高山病へと繋がってしまう。
アンダーウェア | 肌着のこと。保温性、吸湿性、通気性、速乾性などが要求される。これを満たすのが天然ウールである。最近ではパイルや羊毛状に作られた化繊などが流通しており、天然ウールを凌ぐ製品も多い。 何を選ぶかは登山の対象、季節などを考えて工夫すべきである。特に冬季は保温性、夏季は吸湿性に重点がおかれる。 |
インナーウェア | フリースのこと。冬季など、保温性を中心に考える時は、空気の層を多く含む性質のあるものを、織り目の密な風を通しにくいものを選ぶ。 |
ミドルウェア | 体温調節しやすいよう、すぐ着脱できるジッパーやボタンのあるものが好ましい。 |
アウター | 雨風を防げるよう防風性の高いものを選ぶ。 |
レインウェア | 登山装備の最重要アイテムの一つであり、十分な研究が必要であるが、「完璧な雨具」は現状存在しない。近年、レインウェアの素材も飛躍的に進歩し、透湿性と防水性に優れたゴアテックス素材をもとにした製品が主流となっている。しかし、激し摩擦、強引な伸縮、度重なる折り返しが考えられる登山行動では、こうした優れた特性を持つ製品も消耗品と考えるべきである。 |
手袋 | 直接、氷雪に触れる機会が多いので、湿気に配慮する。脱脂をしていない毛糸で編んだものやゴアテックスの五本指の手袋が望ましい。オーバーミトンは防湿、防寒に有効である。 |
帽子 | 陽よけ、風防、防寒とその用途によって使い分ける必要がある。一つの製品でこれらの要因を完全に満たしてくれるものは少ないので、創意工夫が必要である。また、季節を問わず必要なのが、風によって帽子を飛ばされない工夫である。 なお、首元からの体温の放出を防ぐためのスカーフやバラクラバ(目出し帽)の保温効果も無視できない。 |
靴下 | 靴擦れやマメの原因は靴だけではなく、靴下にある場合も多い。汚れたもの、 縮れたもの、大きすぎて皺のできるもの、編み目の荒い靴下などは避け、厚めで足にゆったりとフィットする毛や化繊の製品を選ぶ。とりわけ冬季では、きつすぎるものは凍傷の原因となるので注意が必要である。 |
登山靴 | 目的に合わせてトレッキングブーツ、アルパインブーツ、積雪期用ブーツがある。また、くるぶしの保護部位が異なるローカット~ハイカットがある。 キリマンジャロ登山は日数が長く、岩場など足場の不安定な箇所が多いので、ハイカットのアルパインブーツでソールの硬いものが望ましい。 |
その他、サポートタイツは体力や膝への負荷の軽減のためにも有効だと思われる。
照り返しや強烈な紫外線、風を防ぐためのサングラスも必須装備である。
★登山中は汗をかきすぎないよう、こまめに服を脱ぎ着するのが基本!
3. 山での生活用具
登山というスポーツの特殊性として、限られた環境内での生活がある。時間的、空間的、物質的にも著しく制限された生活であるだけに、その用具は精選され厳選されたものである必要がある。
テント | 防水、防風、居住性、重量などが選択の基準となる。稜線で幕営する際は、風の方向を考えてテントを張らないと、強風によりポール(テントの骨組み)が折れることがある。また、設営場所の確保や重量を考えると、小回りの利く小型のテントが良い場合がある。 |
ストーブ | 火力、安全性、堅牢性、燃料確保のし易さなどが選択の基準となる。最近では石油ストーブからガスカートリッジ式の製品が主流となっている。ガスボンベの交換だけで済むので便利だが、ボンベの取り扱いには注意が必要である。 |
食器類 | 衛生上や楽しさ、創意工夫の点から個人管理が望ましい。 |
ザック | 大きさはデイパック(30L前後)から長期縦走用(100L超)まで様々。ザック類は登山用品を扱っている店舗で、目的に合い、なおかつ自分の身体にフィットするものを選ぶことが重要である。また、行動中の破損を考えると、なるべくシンプルな形状のものが良い。 |
★目的に合わせ、本当に役立つものは何かを吟味し持参するのも登山技術の一つである!
4. まとめ
装備は、その目的とする山行(さんこう)に見合った過不足なものでありたい。山での生活には実に多くの用具が必要と思われ、初心者はあれもこれもと取り揃えてしまいがちである。しかし、山に慣れた人であれば、現地で創意工夫することによって無駄を省き、装備は必要最低限でザックの見た目も美しくまとまっているものである。それは、本当に必要なものを見極め、うまく収納しているからである。日常で沢山のモノに囲まれている中から、本当に役立つものは何かを吟味し持参するのも登山技術の一つである。
★登山装備では、軽量コンパクト、高性能、一種多機能が大正義!!
★登山中は汗をかきすぎないよう、こまめに服を脱ぎ着するのが基本!
★目的に合わせ、本当に役立つものは何かを吟味し持参するのも登山技術の一つである!
↑ヒジョ~~に大切なことなので2回書きました!!
いよいよキリマンジャロ登山についての準備が始まってきて、本当に登るんだという実感が湧き始めワクワクしてる! まだまだ分からないことだらけなので、メンバーみんなで協力し情報を共有しながら備えていきたい!
記事作成:参加メンバー 清水 駿介 / 写真・表、修正:リーダー 金原 守人