はりきってキリマンジャロへ向かいましたが、結果はドクターストップで無惨にも途中下山。
私には悔しさの残るものでしたが、みんなで登る山の本当の楽しさを感じられたとても印象深い登山となりました。
また山のプロたち(ガイドさんとかポーターさんとか)のありがたみとそのプロたる所以に触れられて、他人に支えられて自分がいるんだと実感できた感慨深い登山にもなりました。
またいつか登ってやるからな!そんな決意を心にふりかえる、マチャメ・ゲートからマチャメ・キャンプまでの道中です。
登山開始初日。
全メンバーとガイドさんを乗せたミニバスでおよそ2時間。
到着したのは登山スタート地点、標高1828mの“マチャメ・ゲート”
車の中でもみんな結構ワクワクが止まらないようすでしたが、ここへ来てついに“本当にキリマンジャロに来た!”という実感がぐいぐい湧いてくるのを感じます。
ゲートではさっそく入山登録と軽食を済ませて、みんなそわそわしながら登山開始を待ちます。
きっと、F1のレースなんかでスタートラインについてエンジンをふかして待つときってこういう気持ちなんでしょうね。
楽しさとも焦りともつかない前のめりな気持ちの中で、自分をドウドウと落ち着かせる。
なんだかんだいって、つまりはもうすでにすごく楽しいということです。
みんな各々に選んで用意してきた登山服を着て、でもシャツだけはみんなでおそろいのデザインの色違いのTシャツを着て。
みんな違うけど、それでもみんな繋がっている。
そんな緩やかな一体感。
ガイドさんや食品とかテントとか山での私たちの生活物資を運んでくれるポーターさんたちもみんなおそろいデザインのTシャツを着て、いざ登山開始!
初日の道中はほとんど森の中。
はじめは背の高い木々のしげるうっそうとした森で、すこしむし暑いような気候の中を歩きます。
深く重なる木々で景色はなかなか見えず“こんなに登った!”感の感じにくいルートですが、自然そのものは最高に楽しめます。
道をつくる丸木に生えるいろいろな形のキノコとか、緑葉のなかに映える黄色やだいだいのちいさな花々とか。
目をこらせばこらすだけいろいろなものが見えてくる、それこそこのルートの面白さです。
メンバーたちはそれぞれに好きな話題でもりあがったり、ルールもない即興のゲーム的な混沌な何かでもりあがったり、少しずつみんなの距離がちぢまっていくような実感がありました。
登りはじめに比べてだんだんと木々の背丈が低くなり、密度もうすくなってきたころ、不意に現れた看板とひらけた広場。
そう、ここが私たちの第1目的地、標高3033mの“マチャメ・キャンプ”
そしてここで初めて意識する、まだまだ遠いキリマンジャロの山頂。
3033m、ずいぶん登った達成感と、5895m、まだまだ先の長い焦燥感。
疲れた体にしみこむようなあたたかいお茶のありがたさと、テントの中みんなで食べる夕食のおいしさとで、生きるのってじつは大変なんだよなとひとりしみじみと感じていました。
山の楽しみ方は人それぞれですが、キャンプからキャンプの間でぜんぜん違ったものを楽しめること、それがキリマンジャロの楽しみの一つなんだと思います。
そんなキリマンジャロの第1日目でした。