ジャンボ!今回は6日目
たくやさんが書いてくれました!
◆◆キリマンジャロ登山6日目のスケジュール◆◆
07:30 起床
08:30 朝食
09:20 バラフキャンプ出発
10:50 ミレニアムキャンプ到着
12:45 ムウェカキャンプ 到着
21:00 就寝
登山6日目。
心地よい朝だった。
かすかな眠気の中で、暗闇の彼方から滲み出す日の出に照らされた遠いウフルピークを目にしたとき、
「登ったんだ。キリマンジャロ。」
昨日までの極度の興奮と疲労も一晩かけてようやく落ち着き、
改めて、自分たちが成し遂げたことをじんわりとかみしめる、そんな朝だった。
~モーニングメニュー~
お粥
ゆで卵
ベーコン
リンゴ
晴れ晴れとした天気の中、朝食を終え、
頂を名残惜しむようにちらちらと振り返りながら、
バラフキャンプを後にして元気に荒野を下っていった。
高度順応を終えた体は何の不自由さをも感じないほどに、自然に調和していた。
これまでに蓄積してきた足の疲労以外には、もはや頭痛も吐き気も感じず、快調に歩みを進める。眼下に広がる大地と雲海、そしてはるか先の水平線を見渡しながら、これまでの色んな道のりや風景、出来事を、一つ一つ味わうように思い起こしていた。
高地砂漠を黙々と下ること1,2時間。ようやく森林限界の位置まで下り、
低灌木帯、そして鬱蒼とした樹林帯へと景色が映っていく。
生き物が棲まない高地でたった1,2日見ないだけで、植物という「いのち」に再会した瞬間、こんなにも懐かしく、安心する自分自身が不思議であった。
そうして途中のミレニアムキャンプも越え、出発から約3時間強、
今日の目的地ムウェカキャンプが、樹林帯の中のひらけた場所で僕らを待っていた。
今日はここで、最後のキャンプ。あとは自由時間。
~ランチメニュー~
パン
マカロニスープ
昼食を終えてテントで一休みしているころに急に土砂ぶりが始まり、まさに間一髪だなと思いながら、現地のポーターと色々話をしていた。
「なんで君はこの仕事しているの?」
同世代の彼の答えは、あまりにもシンプルで、当たり前で、
それでいて僕の常識を軽々と覆し、胸を刺した。
「大学に行きたいんだ。プログラミングを学びたいんだよ。だから、お金貯めてる。」
これが当たり前に知っていたはずの、後発開発途上国の現状だった。
国家経済の成長が著しいとはいえ、まだまだ貧困世帯が多い中で、ストレートに大学まで行けるような家庭は極めて稀である。彼のように、自分で出稼ぎに来る青年は多い。
目を輝かせて夢を語り、目の前の恵まれない環境の中で、黙々と、夢への道を生きる。
その姿は、あまりに尊く、我が身の生き方を痛切に考え直させた。
雨はいつしかやみ、夕日とともに、気づけば虹が僕らを迎えてくれていた。
夕食時、山行での最後の晩餐ということもあり、残りの食料で盛大な食事であった。
~ディナーメニュー~
炊き込みご飯
パン
野菜スープ
きゅうり・キャベツサラダ
ビスケット
オレンジ
そして最後の夜。
眠れぬままにテントを抜け出し、ふと空を見上げたら、
そこに待っていたのは、夜空でも、星空でもなく、
宇宙だった。
零れ落ちんばかりの星々が奥行きを持って天に満ち、
天空と大地という区別はそこにはなく、あるのはただ、
同じ宇宙の中の星々と地球、そして自分であった。
何かを考えることもなく、時を忘れてただただじっと、眺めていた。
感動は、あとからこみあげていた。夜は、更けていった。 (終)