【スタディツアー記録】2015年2月 ペルー・ボリビア|マチュピチュとウユニ塩湖で「地球の声を聴く」、音を持ち帰った10日間

2015年2月、MOTIprojectは初めて南米へ向かいました。行き先はペルーとボリビア。マチュピチュ、チチカカ湖のウロス島、そしてウユニ塩湖。テーマは「地球の声を聴く」。絶景を「見る」だけでなく、五感で地球を感じ、その音を日本に持ち帰った10日間の記録です。

夕暮れのウユニ塩湖

ツアーの概要

  • 日程:2015年2月22日〜3月4日(10日間)
  • 訪問地:ペルー(リマ、クスコ、マチュピチュ、プーノ、ウロス島)、ボリビア(ティワナク、ラパス、ウユニ)
  • 参加者:全国から集まった大学生など17名(代表を含む)
  • テーマ:「地球の声を聴く」
  • 主な内容:クスコの学校での交流、マチュピチュとワイナピチュ登山、ウロス島訪問、陸路での国境越え、ウユニ塩湖の星空と朝日、現地の先生方とのごみ問題のディスカッション、帰国後のサウンドスケープ展

テーマは「地球の声を聴く」

企画リーダーは、前の年にMOTIprojectのタンザニアのツアーに参加した大学2年生。小学生のとき、学校に来たボリビアの音楽隊の演奏を聴いて以来、南米にずっと憧れていました。

リーダーには、旅の前に体験した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」での気づきがありました。真っ暗闇の中で、ふだんどれほど目だけに頼って生きているかを知ったこと。そこから生まれたテーマが「地球の声を聴く」です。ウユニ塩湖のような「写真で知られた絶景」に、あえて音で向き合う。帰国後には、写真展ではなく、現地で録音した音で旅を伝える「サウンドスケープ展」を開くことを目標にしました。

出発前の準備

  • ペルーについての勉強会:日本ペルー協会の方にお越しいただき、経済や歴史など、ふだんは知ることのない視点からペルーを学ぶ
  • マリネラのダンスレッスン:ペルーの伝統舞踊マリネラを、日本でマリネラを広める活動をしている方から習う。日系ペルー人の方々が日本で感じている言葉や文化の壁についてもお話を伺った
  • ダイアログ・イン・ザ・ダーク:視覚障がいのある方の案内で、暗闇の中で五感を使う体験
  • スペイン語講座、高山病の勉強:あいさつ、数字、値段の交渉。標高3,000メートルを超える場所での体調管理
  • 事前調査とつながりづくり:ウユニのごみ問題、ウロス島、インカ帝国、アンデスの音楽などを分担して調べて発信。地方のメンバーも参加できるよう、自己紹介動画をリレーでつないだ
  • クラウドファンディング:帰国後のサウンドスケープ展の開催費用を、クラウドファンディングで募った

1日目:リマ空港、真夜中のマリネラ

リーダーが手刷りした虹色のHOLA Tシャツ

成田空港に集合すると、リーダーが全員分のTシャツを自分でシルクスクリーンで刷ってきてくれていました。色を並べると虹になる「HOLA」Tシャツです。アメリカのダラスを経由して、約20時間のフライトでペルーの首都リマへ。

到着は深夜1時過ぎ。スーツケースが届かないメンバーがいたり、誕生日のメンバーをサプライズで祝ったり。そして日本で練習してきたマリネラを、リマ空港で踊りました。真夜中2時半の静かな空港でしたが、最後まで踊りきり、ガイドさんと現地の人から拍手をもらいました。

2日目:クスコの学校と市場、そして列車でマチュピチュへ

クスコの大聖堂

リマから飛行機で、標高3,400メートルのクスコへ。街全体が世界遺産です。インカ時代の「12角の石」が残る石畳の街を歩きました。

その後、観光を学ぶ学生のクラスを訪問しました。日本で練習してきた、カップを使ってリズムを刻む「カップソング」をスペイン語まじりで教えると、学生たちもノリノリで参加してくれて、一気に距離が縮まりました。近くの市場を歩いたあと、列車でマチュピチュの麓の村へ向かいました。

マチュピチュへ向かう列車

3日目:マチュピチュとワイナピチュ登山

マチュピチュ遺跡

朝4時45分に起きてマチュピチュへ。遺跡を見学したあと、遺跡の奥にそびえるワイナピチュに登りました。すれ違う人と「¡Hola!」とあいさつを交わし、下りでは登ってくる人と声をかけ合いながら、山頂からマチュピチュを見下ろしました。

4日目:チチカカ湖に浮かぶウロス島

クスコからチチカカ湖のほとりの町プーノへ移動し、船でウロス島へ。湖に生える葦(あし)を積み重ねてつくった、浮かぶ島です。決して暮らしやすい環境ではありません。それでも人々はこの島にとどまり、自分たちの文化を観光と結びつけながら暮らしていました。「次に来るときも、この島が残っていてほしい」。リーダーはそう振り返っています。

アンデスの手づくりの人形

5日目:陸路で国境を越えてボリビアへ

ラパス郊外の月の谷

この日は、陸路でペルーからボリビアへ国境を越えました。マチュピチュより500年以上古いとされる世界遺産ティワナク遺跡、雨と風に削られて月の表面のような地形になった「月の谷」を訪ね、ラパスの街を歩きました。

6日目:12時間のドライブの先に、ウユニ塩湖

ラパスからウユニまでは、5台の四輪駆動車に分かれて移動しました。予定では約10時間でしたが、途中で道に迷ってしまい、2時間遅れに。この日予定していた現地の方とのディスカッションは翌日に移し、夕暮れのウユニ塩湖へ急ぎました。曇り空でしたが、塩湖はしっかり鏡張りになっていました。夜は、壁もベッドも塩でできたホテルに泊まりました。

7日目:星空、朝日、そしてウユニのごみ問題

ウユニ塩湖の星空と天の川

朝3時に起きて、日の出前の塩湖へ。360度の星空と頭上を横切る天の川が、足元の水面にも映っていました。やがて空が白み、朝日が昇ると、一面が真っ白な世界に変わりました。

そのあと町に戻り、現地の先生方とウユニのごみ問題についてディスカッションをし、ごみ捨て場も見せていただきました。ウユニの町にはごみの焼却施設がなく、穴を掘ってごみをためて燃やすしかない現状があります。観光客が増えるほど、ごみも増えていく。先生方はこの状況を変えたいと願いながら、教育をどう変えていくか、お金がない中で何ができるかを模索されていました。

参加者からは、「ごみを見て何かすべきだと感じるのは、日本で教育を受けて育ったからかもしれない」「観光で訪れる自分たちが、この町のごみを増やしているのかもしれない」という声が上がりました。絶景の裏側を自分の目で見たことが、自分の旅の仕方を見直すきっかけになりました。

鏡張りのウユニ塩湖に並ぶ四輪駆動車

昼は塩湖の真ん中で、ドライバーさんたちが準備してくれたバーベキュー。この日はリーダーの20歳の誕生日で、ガイドさんの計らいでサプライズのお祝いもしました。午後は日本から持ってきた小物でトリック写真を撮り、最後は全員で、地平線に沈む夕日を静かに見送りました。

ウユニ塩湖の夕日

8日目〜10日目:ラパスから日本へ

ラパスで、全行程を案内してくださったガイドさんたちに寄せ書きを渡してお別れし、マイアミへ。最後の夜は、旅の間ずっと続けてきた「シークレットフレンド」の発表会です。くじで引いた相手を、本人に気づかれないように毎日一回喜ばせる。誰が自分のシークレットフレンドだったのかを当て合いながら、プレゼントを交換しました。帰りの機内では、メンバー一人ひとりに色紙を書いて、成田で渡し合いました。

帰国後:音で旅を伝える「サウンドスケープ展」

帰国から約1か月後、代々木上原で「サウンドスケープ展 地球の声を聴く」を開きました。展示の部屋では写真を一切使わず、ウユニ塩湖や町の中で録音した音だけで旅を伝えました。午前は視覚障がいのある方と招待者の時間とし、7名の視覚障がいのある方が来てくださいました。点字の案内も用意し、午後の一般公開の回は満席になりました。

来場された視覚障がいのある方の「自分は耳だけでなく、肌でも旅をする」という言葉に、メンバーはハッとさせられました。音の専門家の方々からも「ぜひ続けてほしい」と声をかけていただき、リーダーはその後、自分で第二弾も開催しています。

このツアーの体験記は、日本ペルー協会の会報誌にも掲載していただきました。また、帰りの機内で書いた「1年後の自分への手紙」は、ちょうど1年後に一人ひとりの元へ郵送しました。

参加者の声

  • 「太陽がこんなにあたたかくて優しいものだと知らなかった」
  • 「絶景の裏にある現実を、自分の目で見られたことがこのツアーの醍醐味だった」
  • 「自分の当たり前は、現地の人にとっての当たり前じゃない。その当たり前のことを、身をもって感じた」
  • 「マチュピチュやウユニよりも、2週間寝食を共にして得た仲間との絆が、何よりかけがえのないものになった」

南米でスタディツアーをつくるときのポイント

1. 高山病への備えが、旅の質を決める

クスコは標高約3,400メートル、ウユニ塩湖は約3,700メートル。富士山の山頂と同じくらいの高さで、少し走っただけで息が切れます。事前に高山病について学び、到着直後は無理をしない、こまめに水を飲むなど、体調管理を日程に組み込んでおく必要があります。

2. 移動は長く、予定どおりにいかない前提で

日本からの移動は乗り継ぎを含めて20時間以上。現地でもラパスからウユニまで車で10時間以上かかり、今回は道に迷って2時間遅れました。ロストバゲージも往復で起きています。予定がずれたときに何を翌日に回すか、あらかじめ優先順位を決めておくと、現地で慌てずに済みます。

3. ウユニ塩湖の鏡張りは、時期と天気しだい

鏡張りが見られるのは、主に雨季の時期です。それでも天気によって見え方は大きく変わります。「絶景を見ること」だけを目的にすると、天気ひとつで旅の満足度が左右されてしまいます。星空、朝日、夕日、そして町の暮らし。塩湖の一日の変化そのものを味わう計画にしておくことが大切です。

4. 絶景の裏側にも目を向ける

ウユニ塩湖の周辺には、観光客の増加とともに深刻なごみ問題があります。スタディツアーとして訪れるなら、観光地の美しさだけでなく、そこで暮らす人たちの課題にも触れる時間をつくりたいところです。現地の先生方とのディスカッションは、このツアーで最も学びの深い時間になりました。

5. 写真にお金を求められることもある

クスコでは、アルパカやリャマを抱いた人を撮影すると、お金を求められることがあります。写真を撮る前に確認すること、そして人を撮るときには必ずひと声かけることを、出発前に共有しておきます。

引率で大切にしていたこと

南米のツアーは、本当に大変です。それでも、ウユニの壮大な自然には、その大変さ以上の価値があります。だからこそ、引率では次のことを大切にしていました。

  • フライトのキャンセルを前提に準備する:南米では、とにかくフライトのキャンセルが起こります。これが一番恐ろしいことです。乗り継ぎが多い分、どこかで便が飛ばなかったときにどう動くかを、常に考えておきました。
  • 高所では、ゆっくり歩く。重いものを持たない:このツアーでも、高山病で倒れる人や熱を出す人が出るなど、いろいろなことが起きました。ゆっくり歩く、重い荷物を持たないといった高所での過ごし方を徹底し、体調を崩した参加者をすぐにサポートできる体制をとることが、何より重要です。
  • 毎日ホテルが変わる。忘れ物に気を配る:移動時間が長く、ほぼ毎日ホテルが変わります。チェックアウトのたびに忘れ物がないか、声をかけて確認しました。
  • 到着した日のケアを大切にする:英語が通じない場所が多く、日本との時差もあります。長いフライトのあとの初日は、特に参加者の様子に気を配りました。
  • 強い日差しから身を守る:標高が高い南米は日差しがとても強く、日焼けが重くなるおそれがあります。日焼け止めや帽子など、日差し対策を呼びかけました。

代表より

MOTIprojectにとって初めての南米でした。私一人だったら、きっと南米を目指すことはなかったと思います。リーダーが南米への想いを持ち込んでくれたおかげで、私自身も新しい世界を見ることができました。実際に行ってみると想像と違うことがたくさんあり、やはり行ってみないと世界はわからないことだらけだと、あらためて感じました。

「写真ではなく、音で旅を伝えたい」。前例のない企画でしたが、リーダーからその想いを聞いたとき、私はすぐに「いいね」と答えました。学生たちは最後までやり抜き、視覚障がいのある方々に地球の裏側の声を届けました。行って終わりにしない、帰国後まで続く旅。MOTIprojectが大切にしてきたことを、学生たちが形にしてくれたツアーでした。

MOTIproject 代表 福室まなみ(もてぃ)

※この記事は、2014〜2015年当時に参加者が書いたブログ記事をもとに、参加者のプライバシーに配慮して2026年に再構成したものです。個人名や大学名は掲載していません。

福室まなみ(もてぃ)

この記事を書いた人

福室まなみ(もてぃ)|MOTIproject代表

16年間で14カ国・48本のスタディツアーを企画・引率し、延べ約576名の参加者と旅をしてきました。参加者が自分たちで企画をつくり、現地の人の暮らしや文化に同じ目線で触れる旅を大切にしています。現在はスタディツアージャパン株式会社で学校・団体の研修旅行の企画と手配を担当するほか、フィリピン・セブ島の語学学校 First English Global College のゼネラルマネージャーとして学校運営に携わっています。セブでは、子どもたちの教育支援を行うNGO「MIC Educational Foundation」に立ち上げから関わっています。

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スタディツアージャパン株式会社(STUDY TOUR JAPAN, Ltd)
神奈川県知事登録旅行業 第3-1104号
〒234-0051 神奈川県横浜市港南区日野8-8-11 ミハルアート3F
https://s-tourjapan.com/

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