2014年8月、MOTIprojectは大学生14名とインドへ向かいました。コルカタ、バラナシ、アグラ、デリーの4都市を巡る8泊9日。マザー・テレサの施設でのボランティア、郊外の学校での子どもたちとの活動、ガンジス川の朝日、そしてタージマハル。学生自身が企画した旅の記録を、1本にまとめました。

ツアーの概要
- 日程:2014年8月16日〜8月24日(8泊9日)
- 訪問地:インド(コルカタ、バラナシ、アグラ、デリー)
- 参加者:全国から集まった大学生14名(学生企画メンバー3名を含む)
- テーマ:「キッカケ × 個人の目標 × 活かす」〜人生にスパイスを〜
- 主な内容:マザーハウスでのボランティア、郊外の学校での交流企画、民族衣装づくり、インド映画、ヨガ、夜行列車、ガンジス川、世界遺産
学生がゼロからつくった旅
このツアーは、2人の大学生の「インドに行ってみたい」という気持ちから始まりました。最初は春に企画したものの、人が集まらず実現できませんでした。それでもあきらめずに夏に向けて企画をやり直し、途中からもう1人のリーダーが加わって、少しずつ形になっていきました。
学生リーダーたちは説明会を何度も開き、地方に住む人には個別に説明をして、仲間を集めました。関西から参加したメンバーは、事前ミーティングにテレビ電話で参加しています。初めての海外がインドというメンバーも何人もいました。
テーマは「キッカケ × 個人の目標 × 活かす」。行って終わりではなく、旅をこれからの自分に活かすこと。参加者一人ひとりも、「挑戦」「笑顔」「吸収する」「ありのままの自分を知る」といった自分だけのテーマを持って出発しました。
出発前の準備
出発までに、現地で役立つ力をつける講座を開きました。
- 笑顔写真の講座:アジア各国で笑顔を撮り続けてきたカメラマンから、自然な笑顔を撮るコツを学ぶ
- 話し方講座:フリーアナウンサーと一緒に「なりたい自分」を言葉にして、1分間の自己紹介を練習
- アジアで使える英語講座:2時間、英語だけで過ごす実践型の講座
- 企画会議とオリエンテーション:現地で何をするかを全員で考え、直前まで練り直す
企画会議では、「インドの神様のLINEスタンプ」「子どもたちの夢を集めたパズル」「現地の学校でのオリジナルダンス」「帰国後の展示会」など、たくさんのアイデアが出ました。全部はできなくても、本当にやりたいものを選んで準備を重ねました。
1日目:エア・インディアで、もうインドが始まる
成田空港で初めて顔を合わせたメンバーもいる中、エア・インディアでデリーへ。機内食のカレーの辛さに、早くもインドを感じます。デリーで乗り継いでコルカタへ。ガタガタの道を走るバスの窓から、トラックの荷台に乗る人たちを見て、みんなで驚きました。
2日目:民族衣装を仕立て、マザーハウスへ

ヒンドゥー教の寺院を訪ねたあと、たくさんの生地の中から自分の布を選んで、オリジナルのパンジャビスーツを仕立てました。この服は、旅の最後に着ることになります。
午後はマザー・テレサが活動の拠点にしたマザーハウスへ。日本人シスターから、毎日砂糖をがまんして施設に寄付した4歳の男の子の話などを聞き、「痛いところまで愛することが本当の愛」という言葉をいただきました。夜のミーティングでは、一人ひとりが感じたことと、この旅の目標を発表し合いました。

3日目:学校での活動と、施設でのボランティア
朝6時半にマザーハウスへ。世界中から集まったボランティアと一緒に、パンとバナナとチャイの朝食をいただき、ボランティアの登録をしました。
午前はコルカタ郊外の学校へ。日本で準備してきたダンスと折り紙を、小学校低学年のクラスで実施しました。ダンスは難しすぎて思うようにいかず、翌日への課題に。言葉で説明しきれないもどかしさも、大切な学びになりました。
午後は、障がいのある子どもたちが暮らす施設でボランティア。手を握ったり、うなずいたり、子どもによって気持ちの伝え方が一人ひとり違うことに気づきました。「与えるより、与えられたことのほうが多かった」。夜のミーティングでは、それぞれの施設での経験を共有しました。
4日目:子どもたちの夢をひとつのパズルに

学校での最終日。前日の反省を活かして、学年を上げてダンスに再挑戦しました。もうひとつの企画は、子どもたち、先生、日本の学生の将来の夢を1ピースずつ書いて、ひとつのパズルにすること。「女優」「ジャーナリスト」、そして「日本に行きたい」。夢をつなげたパズルが完成しました。
子どもたちと一緒に給食をいただき、お迎えが来るまで校庭で遊んで、別れを惜しみました。夕方はホテルでインドヨガを体験。夜はコルカタの街で、素焼きのカップに入った1杯5円ほどのチャイを味わいました。
5日目:インド映画と夜行列車
午前は自由行動。メンバーの1人が企画した「ミッション」に沿って、街の建物や歴史を自分の足で調べました。昼は映画館でインド映画を鑑賞。言葉はわからなくても、ダンスの多さと途中の休憩時間に、インドの映画文化を体感しました。

夜は夜行列車でバラナシへ。ゆっくり走る列車の中で、夜遅くまで語り合い、仲間との距離がぐっと縮まりました。
6日目:聖地バラナシ

早朝にバラナシに到着。リキシャーに乗って、牛が優先される道を通ってガンジス川へ向かいました。洗濯をする人、沐浴をする人。川とは思えない広さです。午後は、ブッダが初めて教えを説いたサールナートと、サリーの工場を訪ねました。
7日目:ガンジスの朝日から、タージマハルの町へ

朝5時に起きて、ガンジス川の朝日を見に行きました。水位が高くてボートには乗れず、曇り空でしたが、祈りや沐浴をする人たちの姿とともに、静かな朝を見届けました。
その後、空路でデリーへ。そこから車で約6時間かけてアグラへ向かい、宮殿のようなホテルに泊まりました。夜は、誕生日を迎えるメンバーと、企画を引っぱってきたリーダーに、ホーリー祭をイメージした色の粉でサプライズ。涙と笑いの夜になりました。
8日目・9日目:タージマハルと帰国
最終日は、2日目に仕立てたパンジャビスーツを着て出発。タージマハルを目の前にして、「インドに行きたいと思ったきっかけ」だったメンバーは涙をこらえていました。赤砂岩の城壁が続くアグラ城、デリーのインド門を見て、空港へ。成田には、パンジャビスーツのまま帰ってきました。

参加者の声
- 「あたりまえなことは一つもないと気づいて、感謝することが多くなった」
- 「年齢も大学もこれまでの生き方も違う仲間と出会えたことが、一番の収穫」
- 「インドは怖い国ではなかった。街も人も、すべてが面白い国だった」
- 「行く前は不安のほうが大きかった。でも、自分が知っている感覚を壊してもらえた」
- 「行かない理由はすぐに作れる。でも、行かないとわからないことがある」
初めての海外がインドだったメンバーも、最初は怖かった街を、最後には自分の足で歩けるようになっていました。
インドでスタディツアーをつくるときのポイント
このツアーで実際にあったことから、インドで学生のツアーをつくるときに気をつけたいことをまとめました。
1. ボランティアは「行けばできる」わけではない
マザーハウスのボランティアは、自分で施設を選べません。また、今回のように半日や1日だけの参加は、一度は断られかけました。短い期間でボランティアが本当に成り立つのかという問いも、正直に受け止める必要があります。目的を事前にしっかり伝えること、そして「助けに行く」ではなく「学ばせてもらう」姿勢で臨むことが大切です。
2. 子どもとの活動は、シンプルに。2回目を用意する
日本で考えたダンスは、低学年の子どもたちには難しすぎました。言葉で説明する折り紙も、思うように伝わりませんでした。英語が通じない前提で、見てまねできる内容にすること。そして学校訪問を2日に分けていたからこそ、1日目の反省を2日目に活かせました。やり直せる日程にしておくと、学生の学びも深くなります。
3. 自由時間のルールを決めておく
到着した翌朝、ホテルの周りを女子2人だけで散歩したメンバーがいました。本人たちも振り返って「軽率だったかもしれない」と書いています。早朝や夜の外出、少人数での行動について、出発前にはっきりルールを決めておく必要があります。女性は肌の露出をおさえた服装も大切です。現地でパンジャビスーツを仕立てたことは、街に溶け込むことにもつながりました。
4. 物売りや物乞いへの向き合い方を、事前に話し合う
観光地ではポストカードの押し売りに会い、映画館の前では物乞いの親子に声をかけられました。リキシャーではチップを求められることもあります。その場で戸惑わないように、どう対応するかを出発前に話し合っておくこと。そして、そこで感じた違和感を、夜の振り返りで言葉にすることが学びになります。
5. 体調管理は「少しお腹をくだす」前提で
大きな問題はありませんでしたが、何人かは少しお腹をくだしました。機内食の時点でかなり辛いカレーが出ます。水はペットボトルだけにする、常備薬を持っていく、無理をしない。ガンジス川での沐浴など、体調に関わることは事前に方針を決めておきます。
6. 8月は雨季。移動にはゆとりを
8月のガンジス川は水位が高く、楽しみにしていたボートからの朝日は見られませんでした。夜行列車はゆっくり走り、デリーからアグラまでは車で約6時間かかります。雨季の天候や長い移動を前提に、代わりのプランと時間のゆとりを日程に入れておくことが大切です。
引率で大切にしていたこと
インドでのツアーで、代表として現地で心がけていたことです。
- 注意は、何度でも伝える:インドは本当に危険も多い国です。一度言ったから大丈夫ではなく、場面が変わるたびに、参加者に何度も注意を呼びかけました。
- トラブルを、ネガティブな思い出で終わらせない:ぼったくりにあった、時間が思いどおりに進まない。そんなときは、その場で「これが日本との違いなんだよ」と伝えて、前向きに受け止められるようにしました。
- 代わりのプランを、いつも用意しておく:予定どおりにいかないことを前提に、ある程度の代替案を考えておき、時間を無駄にしないようにしました。
- 水は、こちらから声をかけて飲んでもらう:体調を崩さないように、定期的に水を飲むよう声をかけ続けました。
- 全部はやらない。参加者に決めてもらう:こちらが全部お膳立てするのではなく、参加者同士で話し合って結論を出し、それを自分たちで実行してもらいました。そのほうが、学びがずっと深くなります。
- 輪に入りにくい人を、ひとりにしない:グループになじめない参加者がいるときは、移動のバスの席をランダムにするなど工夫して、自然に話す機会を増やしました。
代表より
一度は人が集まらずに流れた企画を、学生たちがあきらめずにやり直し、14人の仲間を集めて実現した旅でした。日本で考えた企画が現地でうまくいかなくても、その場で話し合って翌日にもう一度挑戦する。その姿に、スタディツアーの意味を教えてもらいました。
MOTIproject 代表 福室まなみ(もてぃ)
※この記事は、2014年当時に参加者が書いたブログ記事をもとに、参加者のプライバシーに配慮して2026年に再構成したものです。個人名や大学名は掲載していません。
この記事を書いた人
福室まなみ(もてぃ)|MOTIproject代表
16年間で14カ国・48本のスタディツアーを企画・引率し、延べ約576名の参加者と旅をしてきました。参加者が自分たちで企画をつくり、現地の人の暮らしや文化に同じ目線で触れる旅を大切にしています。現在はスタディツアージャパン株式会社で学校・団体の研修旅行の企画と手配を担当するほか、フィリピン・セブ島の語学学校 First English Global College のゼネラルマネージャーとして学校運営に携わっています。セブでは、子どもたちの教育支援を行うNGO「MIC Educational Foundation」に立ち上げから関わっています。
スタディツアー・研修旅行のご相談
学校や団体での海外研修旅行・スタディツアーの企画、現地手配のご相談をお受けしています。旅行の手配は、スタディツアージャパン株式会社(担当:福室)が行います。
お問い合わせの際は「MOTIprojectの記事を見た」とお書きください。
スタディツアージャパン株式会社(STUDY TOUR JAPAN, Ltd)
神奈川県知事登録旅行業 第3-1104号
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