2015年9月、MOTIprojectは大学生とタイへ向かいました。テーマは「アジアのパワーを吸収し、五感で世界を感じる」。ネットがつながらず、タイ語しか通じない村の学校に泊まり込み、子どもたちと過ごした時間。そして、村の人たちと一緒に夜空へ放ったランタン「コムローイ」。スマホに頼らず、全身でタイを感じた8日間の記録です。

ツアーの概要
- 日程:2015年9月7日〜9月14日(8日間)
- 訪問地:タイ(バンコク、アントン、チェンマイ)
- 参加者:大学生など9名(代表を含む)
- テーマ:「アジアのパワーを吸収し、五感で世界を感じる」
- 主な内容:アントンの寺院が運営する学校での宿泊と交流、子どもたちとのギネス記録への挑戦、チェンマイの村の学校訪問とサッカーボールの寄贈、村の人たちと行うコムローイ、ゾウのキャンプ、バンコクの寺院とマーケット
モンゴルからタイへ
このツアーの企画リーダー、萌さんは、半年前にMOTIprojectのタンザニアのツアーに参加した大学2年生でした。当初はモンゴルのツアーのリーダーとして準備を進めていましたが、参加者が集まらず、行き先をタイに変更してやり直しました。
萌さんがリーダーに立候補した理由は、「自信のない自分を変えたかったから」。人前で話すことが苦手で、何度練習しても説明会のプレゼンがうまくできない。それでも、前日に企画書を一から作り直し、寝ずに練習した説明会は、参加者から「すごくよかった」と言ってもらえるものになりました。
出発の約3週間前には、バンコクで爆弾テロ事件が起きました。それでも最新の情報を確かめたうえで、参加を決めてくれたメンバーと出発しました。集まったのは、初めての海外というメンバーも含む、全員女性のチームでした。
テーマは「スマホに頼らない」
リーダーは、スマホがあるのが当たり前の自分たちの世代が、目の前の人との対話をおろそかにしているのではないかと感じていました。だからこそ、このツアーでは、ネットがつながらず、タイ語しか通じない村の学校に泊まることにしました。わからないことをすぐに検索するのではなく、相手のことを想い、自分で考えて伝えてみる。そんな時間をあえてつくりました。
出発前の準備
- ダイアログ・イン・ザ・ダーク:視覚障がいのある方の案内で、真っ暗闇の中を探検。見えない中で声とぬくもりを頼りに動き、初対面のメンバーとも一気に打ち解けた
- オリエンテーション:一人ひとりが「自分の旅のテーマ」と「帰国後になりたい自分」を決めて発表。「感覚を磨く」「積極的に自分から動く」「自分の意見を主張できるようになりたい」など
- サッカーボールの準備:日本で使われなくなったボールを集めて海外の子どもたちに届ける活動「ピースボールアクション」から、ボールをお預かりした
1日目:バンコクの熱気
成田からバンコクへ、約7時間。空港を一歩出ると、経験したことのない暑さと湿度、そしてタイの香りに包まれました。高層ビルが並ぶ都会の街並みと、その間を縫って走るバイクやトゥクトゥク。夜は巨大なナイトマーケットで本場のタイ料理を味わい、歌と踊りのショーを鑑賞しました。

2日目・3日目:村の学校に泊まり込む

バンコクから車で約2時間。一面の畑とバナナの木が続く道を抜けて、アントンにある学校へ向かいました。もとは寺院でしたが、世界中からの寄付を受けて学校となり、幼稚園から高校まで約1,300人の子どもたちが学び、暮らしています。私たちはこの学校の中に2泊させていただきました。
幼稚園では、日本から持っていった折り紙や紙風船で遊び、追いかけっこをして、おんぶに抱っこ。小学校では、タイ語で一人ずつ自己紹介をしてから、子どもたちと一緒に「ギネス記録への挑戦」をしました。タイの人気歌手の曲に合わせて大人数で踊る、みんなでドットアートを描く、100人で同時にジャンプする。突然やってきた外国人のお願いにもかかわらず、子どもたちは嫌な顔ひとつせず、笑顔で付き合ってくれました。
夕食の前には、小さな子も一緒になって、全校でお経を唱えます。その姿に、この学校が寺院とともに歩んできたことを感じました。食事の配膳のお手伝いもさせていただきました。
萌さんにとって、この時間は大きな転機になりました。日本語も英語も通じない中で、子どもたちの前に立ち、企画を進めなければならない。以前の自分なら逃げていたと思う場面で、大声を出し、汗をかきながら動き回って、最後までやりきることができました。
4日目〜6日目:チェンマイの村で、夜空にコムローイ
後半は北部の町チェンマイへ。山あいの村の学校を訪ね、日本から預かってきたサッカーボールを、村長さんと校長先生にお渡ししました。子どもたちは、さっそく裸足でボールを追いかけ始めました。

この村では、毎年11月に行われるランタンのお祭り「コムローイ」を、村長さんにお願いして、私たちのために特別に体験させていただきました。校長先生や村の子どもたちと一緒に、一人ひとつのランタンに想いを込めて、夜空へ放ちます。言葉はわからなくても、ゆっくりと空にのぼっていく灯りを、みんなで見上げました。
チェンマイでは、ゾウのキャンプも訪れました。バンコクに戻ってからは、きらびやかな寺院をめぐり、ボートで風を感じ、マーケットで買い物を楽しみました。
7日目・8日目:帰国
最終日まで、とにかく笑って、食べて、感動して、学んで、泣いて、また笑った8日間。9月14日の朝、全員で日本に戻りました。
帰国後
帰国後は、同じ年の8月に行ったインドのツアーと合同で、五感で旅を伝える報告会を開きました。現地で録音してきた音や香りを使って、タイを写真だけでなく全身で感じてもらう試みです。現地で買ってきた雑貨の販売も企画しました。
参加者の声
- 「子どもたちがつないでくれた手のあたたかさ、匂いだけでお腹が空くタイ料理、ナイトマーケットの喧騒。見るだけではなく、全身でタイを感じた」
- 「会ったばかりの私たちの拙いタイ語を聞いて、子どもたちが一生懸命折り紙を作ってくれた」
- 「海外では思うようにいかないことばかり。でも、トラブルを自分を成長させるチャンスだと思えるようになった」
- 「嫌なことから逃げて、誰かがなんとかしてくれると思っていたから、自信がなかったのだと気づいた」
タイでスタディツアーをつくるときのポイント
1. 野良犬に注意。狂犬病の予防接種を検討する
タイの町には野良犬が多く、このツアーでも参加者が犬にかまれ、帰国後もワクチン接種に通うことになりました。犬に近づかないよう出発前に伝えること、そして渡航前の狂犬病の予防接種を検討することをおすすめします。
2. 治安情報は、出発直前まで確認する
このツアーの出発前には、バンコクで爆弾テロ事件が起きました。外務省の海外安全情報や現地の手配会社から最新の情報を集め、参加者や保護者に状況を説明できるようにしておくことが大切です。
3. 都会と村、両方を組み込む
バンコクは東京と変わらないほどの大都会です。一方で、車で2時間走れば、ネットもつながらない田園地帯が広がります。都会だけ、観光地だけではなく、村での暮らしにも触れる日程にすることで、タイという国の幅広さが見えてきます。
4. 祭りの「本番」にこだわらなくてもいい
コムローイの祭りは本来11月ですが、村長さんにお願いすることで、9月に特別に体験させていただけました。現地の方との関係があれば、時期が合わなくても、その土地ならではの体験をつくることができます。
5. 暑さと、寺院のマナー
タイは一年を通して暑く、湿度も高い国です。こまめな水分補給と休憩を日程に入れておきます。また、寺院を訪れるときは、肌の露出をおさえた服装が求められます。
代表より
このツアーは、モンゴルで人が集まらず、行き先を変えてやり直したツアーです。リーダーは何度もくじけそうになりながら、それでも最後まで逃げずにやりきりました。「私は4月からずっとあなたのことを思ってやってきた」。説明会の前日、私がリーダーにかけたこの言葉で、彼女のスイッチが入ったそうです。
ネットのつながらない村で、言葉の通じない子どもたちと向き合い、村の人たちと一緒にコムローイを空へ放つ。観光では決してできない体験を、学生たちが自分たちの手でつくりあげたツアーでした。
タンザニアからタイへ、二つのツアーを一緒に歩んできた萌は、私にとって本当に大切な存在です。
MOTIproject 代表 福室まなみ(もてぃ)
※この記事は、2015年当時に参加者が書いたブログ記事をもとに、参加者のプライバシーに配慮して2026年に再構成したものです。個人名や大学名は掲載していません。
この記事を書いた人
福室まなみ(もてぃ)|MOTIproject代表
16年間で14カ国・48本のスタディツアーを企画・引率し、延べ約576名の参加者と旅をしてきました。参加者が自分たちで企画をつくり、現地の人の暮らしや文化に同じ目線で触れる旅を大切にしています。現在はスタディツアージャパン株式会社で学校・団体の研修旅行の企画と手配を担当するほか、フィリピン・セブ島の語学学校 First English Global College のゼネラルマネージャーとして学校運営に携わっています。セブでは、子どもたちの教育支援を行うNGO「MIC Educational Foundation」に立ち上げから関わっています。
スタディツアー・研修旅行のご相談
学校や団体での海外研修旅行・スタディツアーの企画、現地手配のご相談をお受けしています。旅行の手配は、スタディツアージャパン株式会社(担当:福室)が行います。
お問い合わせの際は「MOTIprojectの記事を見た」とお書きください。
スタディツアージャパン株式会社(STUDY TOUR JAPAN, Ltd)
神奈川県知事登録旅行業 第3-1104号
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